『シンプルで整った』、そんな大きさの異なる8型のカバン。

その8型のカバンを見て『8型しかない』と感じる人もいれば、『8型もある』と感じる人もいる。

ひとつだけこのカバンに言える事は、『莫大なモノやコトに始まり膨大な情報を最終的に8型にまで削ぎ落としていった結果がもたらした産物である』という事。

僕自身バイヤーを生業としていると、いつも思考を巡らすのは“削る”という作業の辛さである。（余談になるが、僕は100キロ超える巨漢から30キロ落とした過去があり、自分自身の過去からも“削る”という行為の辛さは体験している。）

とは言え、僕はまだまだ半端者で「ブクブク太っては少し削りまた太る」という繰り返しである。

ただ、いつしか初期衝動を忘れてしまい、なんとなくブクブク太り続ける事でしか体裁を保てなくなるのは避けていたいとも思う。

「CHACOLI」の8型のカバンが店頭に並ぶと、自分自身を戒めていただいている気持ちになり背筋が伸びる。

“削る”という辛さの中で生まれたこの「CHACOLI」はとても興味深い産物である。

中西 正拡